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【ひらがな】ひらがなの歴史と種類-手本選びのために-

手本を見る目を養うためにも、ひらがなの知識をざっと修得します。

ひらがなには、系統・流派ごとの書きぶりのほかに、ひらがなの発生・発展過程、楷書・行書・草書に書き分けるための字形、書きぶり(書風)によっていくつかの種類に分けることができます。

まとめ
<かなの種類>
1.初級のひらがな(現代風・教科書体風)/カタカナ
2.上級のひらがな(高野切第三種風)
3.さらに上級のひらがな(高野切第一種風・寸松庵色紙風など)
4.草がな(変体がな)
5.万葉がな
学習順序は上から下へ、発生過程は下から上へ



ひらがなの歴史
万葉時代
日本には、固有の文字がなかったため、文を表すために中国から渡来した漢字の読みをそのまま音にあてはめて一字一音のかな文字として使い始めました。これを万葉がなと呼びます。借字の一種で、要するに当て字です。
万葉がなは、1つの音を表すのに数種数十種の漢字をあて、総計973文字にも上ったそうです。

万葉がな
(狩田巻山著「ペン習字精習(上)」より)

奈良時代~平安時代
万葉がなは、当初楷書と行書で書かれていましたが、後に草書で書くようになり形が単純化され、万葉時代からはさらに字数も整理されます。これを「草がな」と呼び、現代では「変体がな」とも呼びます。

その後、さらに字形が簡略化され、元の字とかけ離れた形となります。漢字を学ぶことができなかった女性が和歌や手紙を書くために用いられ、発展してきた経緯から、当時は「女手(おんなで)・女仮名」と呼ばれます。

ただし、この当時は、草がなとひらがなを混在させて和歌や文章を書いていました。また、その使い分け、書風も人それぞれで統一された書き方や書風はありませんでした。

草がなは、同じ音であってもいくつもの漢字をもとにした字が用いられており、何種類も同じ音を表す文字がありました。明治時代まで、それらは区別されずにすべて「ひらがな」と呼んでいます。


明治時代教科書
(「字と書の歴史」江守賢治著,p.114)
「そ」「お」「え」などが現代と異なる草がなが用いられている。

現代
現代の「ひらがな」が確立するのは、明治33年(1900年)に小学校令施行規則によって決められたことによります。ここで、一音一字主義を取り、草がなから適当な一字を取ってひらがなとし、48文字のひらがな表が付表第一号表として示されます。そこで選ばれなかった文字が異体字として「変体がな」と呼ばれるようになります。


小学校令施行規則
(「字と書の歴史」江守賢治著,p.127)
「い」「き」「し」「と」「ま」「も」「ゐ」「ゑ」などの文字、現在の旧かな遣いの文字などがまだ統一されていない。

草がな
(佐藤友里著「ペン習字のすべて」) 明治33年の小学校令施行規則に示されたひらがなは、さらに改訂され現在の五十音になります。
明治41年(1908年)に26字の異体字が復活したり、大正11年(1922年)にまた廃止されたりしています。現代のひらがなは、戦後の小学校令施行規則の改訂によって示されたものです。

活字と教科書体
印刷のための活字体が作られるようになり、日常、目にするひらがなもほとんど活字体となっていますが、当然、活字体をそのまま筆写するとバランスが悪く、とりわけひらがなを習う小学校においては弊害が出ます。
そこで手書き文字から活字教科書への移行にともない、国定教科書において当時の文部省は、「書き文字を意識した活字体」を書家・井上千圃(せんぽ)に依頼します。これがいわゆる「教科書体」です。

「教科書体」は、活字ですから当然楷書体ですが、一般的な活字よりも書き文字に近いデザインがなされています。ただし、印刷によって教科書体にもいくつかの種類があります。


ひらがな書写の手本
書写において、ひらがなの手本をもとめるには、かながもっとも発達して完成期であったとされる、平安時代中期の藤原時代のかなが良いとされています。

平安時代中期の小野道風・藤原佐理・藤原行成が書の三蹟と称され、書の和様化を完成させたとされています。この時期の和様書、仮名書を総称して「上代様(じょうだいよう)」と呼び、以来、これを「かなの手本」にしてきました。

上代様の古筆としては、次のものが挙げられます。

継色紙
高野切(第一種・第二種・第三種)
大字和漢朗詠集
桂本万葉集
関戸本朗詠集
粘葉本和漢朗詠集
寸松庵色紙
升色紙
本阿弥切
関戸本古今集
針切

書道などでは、このうち、「高野切(こうやぎれ)」(「古今和歌集」の写本の通称)を代表的な手本としています。この「高野切」は、三人の書家によって書かれたものとされており、その手によって第一種、第二種、第三種と区別されています。

このうち、第三種の書風がもっとも現代的であるとされ、ひらがなの書写の手本としてまず最初あがる手本の1つです。(ただし、原文は連綿で書かれているため、楷書の場合はその字形を単体で取り出した形「ひらがな単体」を手本とします。)

高野切第三種
(高野切第三種,狩田巻山著「ペン字精習(上)」)

また、第一種の書き手は、冒頭の一巻と最後の二十巻を手掛けていることから、三人の中ではもっとも地位の高い自分物によるものと言われており、その書風もクセがなく、連綿も少ないことからこちらも一級の手本とされています。

また、その他の上代様の作品も用いられます。

粘葉本和漢朗詠集
(粘葉本和漢朗詠集,狩田巻山著「ペン字精習(下)」

しかしながら、これらの古典による手本は、活字に慣れた現代人にとっては普段見慣れない形でもあり、初心者が書写するにはいささか高度であること、ペン習字においては実用の意味から必ずしも書道における芸術的な手本から始める必要もないことなどから、活字形を基準に上代様を若干変化させた「現代風のかな手本」が示されることが多くなっています。
(たとえば、狩田巻山著「ペン字精習(上)・(下)」、佐藤友里著「ペン習字のすべて」、より教科書体に寄せたものとして中塚翠涛著「30日できれいな字が書けるペン字練習帳」など)

日常生活で楷書しか書かないのであれば、この現代風にアレンジした形のひらがなを学ぶので必要十分だと思われますが、さらに発展させて行書体や草書体を使うとなると、漢字の崩しに合わせたひらがなの連綿(続け字)を書かなければバランスが取れません。

教科書体は、あくまで活字体ですから、楷書のみを考えた形となっており、行書に合わせたひらがなを書くとなると、やはり上代様のかな手本へと進む必要があります。

さらに草書などに進み、書写体などの形も入ってくると、どうしても現在異体字とされている「草がな(変体がな)」が必要となります。

したがって、
現代人に馴染みがある形にアレンジされたひらがなを、「初級のひらがな」
古典を手本とした形のひらがなを(狩田先生に倣って)「上級のひらがな」
と呼ぶとすると、ひらがなには次の種類があって、時代を遡る形で修得するのが望ましいと思われます。

初級のひらがな
   ↓
上級のひらがな(1つの手本)
   ↓
上級のひらがな(さまざまな手本)
   ↓
  草がな
   ↓
  万葉がな、など



さて、これで異なる書風のひらがなを見る基準がある程度分かりました。

B系統の先生によるひらがなの手本としては、
佐藤友里先生「ペン習字のすべて」がもっとも現代風(初級のひらがな)
高田香雪先生「書き込みペン習字」少し現代風にアレンジされている
パイロットかな編が本来のB系統の楷書のひらがな
・・・といったところでしょうか(下記関連記事を参照してください)。


関連する記事
1.【ひらがな】ひらがなの書きぶり比較


(参考文献)
・江守賢治著,「字と書の歴史」(1967)
・狩田巻山著,「ペン字精習(上)(下)」(1978)
・佐藤友里著,「ペン習字のすべて」(1983)
・パイロットペン習字通信講座テキスト
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Re: タイトルなし

コメント&ご指摘ありがとうございます。
いっぱい間違えてますね(^^; お恥ずかしい。
でも、古い記事も見ていただいてるのは嬉しくありがたいです。
ありがとうございますm(__)m
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@Sai

Author:@Sai
ようこそ@Saiのブログへ!
本ブログは、私の趣味の記録です。趣味の勉強ノートと割り切ってるので、お見苦しい個所も多々ありますが、よろしければご笑覧ください。
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