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【パイロット】課題研究:「春」の字形について

Twitterで少し話題になっていたので、「春」の字形について考察してみます。

わかくさ通信の「課題の注意点」でも「春は字形をよく調べて」と書かれています。見慣れた字ですが、わざわざ注意点として書かれているわけですから、安易に考えず注意しないといけないってことです。

注意:以下、私の個人的な考察なので、あくまで参考までに。

現在、学校で教えている「春」、もしくはそれに基づいて多くのペン字本で書かれている現代の標準字形
春_標準
先の課題研究で書いたように、ヨコ画詰めて短く、左右の払いは2本目ヨコ画の下あたりで接します。流派によっては「日」と左右の払いの間隔に注意させるところもあります。

(ダメな例)
三本目長い春
3本目のヨコ画が長いと左右の払いを邪魔します。左右に大きく払う字は、他の画は控えめに書きます(江守先生:楷書の基本100パターン)。

日が落ちた春
日が下がると間延びしてしまいます。

話題となっていたのは、右払いの起筆の位置でした。
(狩田先生:「ペン字常用漢字の三体」の春)
春_狩田_三体
ヨコ画の3本目にピタリと接筆して払われています。この字形はありなのか?( ゚Д゚)

こんな時には、「書道字典~♪」
書典
おぉ!ヨコ画3本目に接するように書かれているものが多い!( ゚Д゚)

でも、春ってよく使う字なのに、字形が様々です。左右の払いを男爵の髭みたいに上に跳ねているのもあるし、3本目中央で接してるのも。実は、「春」は古典でも字形がハッキリしていない字の1つなのかもしれません。現代で書くと、明らかにダメな字形のオンパレードです。

<古典にある字でも書いてはダメな字、その理由>
臨書や書道として毛筆で書く場合は、古典に出てくる「現代では望ましくない字」を書く場合もありますが、ペン字の目的として「現代実用として誰が読んでも正しく・美しく判読できる字を書くこと」があります。毛筆書道の流れをくんだ流派では、硬筆で書作品にまで高めることを目指す「書道的」な要素も強いですが、それでも硬筆・ペンでの書写の目的は現代に相応しい実用性が求められます。個人的には、実用に重きを置くのを「ペン字」、実用と同時に書作品にまで発展させるのを「ペン習字」と呼び分けたいと思います(正しいのかどうかは知りませんが・・・)。



ちなみに、ヨコ画3本目の中央で払うのがダメな理由
三本目で接するダメな例
3本目で左払いと右払いが接すると、左払い側に右払いの起筆が寄ってしまって字形が歪みます。なら、左払いを中央に下ろして接すればいいかと、下のようにするとバランスが悪くなります。

さて、件の狩田先生の字形はどうか。

本ブログの課題研究では、同じ狩田先生の字を「常用漢字の六体」の方から採取しています。「常用漢字の六体」の方では、ヨコ画2画目と3画目の間で接筆を少し離して書いています。
春_狩田_六体
これはこれで、こなれている感じがします。「ペン字常用漢字の三体」の方は、これが元になっているのではないか。

なぜなら、現代の春も含めて、ヨコ画2画目と3画目の間で接する形は、和様の「春」の字形に近いから。
粘葉本
(江守先生:楷書の基本100パターン)
これが、現代の標準字形、狩田先生の「春」の元になってるのではないでしょうか。中国古典風の「春」から、今の標準字形は遠いような気がします。

つまり、狩田先生の三体の字は、中国古典から直接来たのもではなく、こう変化したものと見る。
三本目で接する場合

現代の硬筆の基本点画では右払いはこう書きます。
右払い

ダメな例1

また、ヨコ画3画目に接する場合も
離れすぎ
こうなると、その延長が上へ行きすぎることになり、また間延びした形になります。ハッキリクッキリヨコ画3本目から起筆してしまうと、現代の標準字形と異なる形に見えてしまう恐れもあります。

ちなみに、狩田先生のペン字精習の春
ペン字精習
やっぱり、ヨコ画三本目より上から書いています。

楷書は、とくにカッチリ書くため、起筆の位置、書き方で意味が違って見える恐れがあります。できるだけ書き方のポイントを押さえてしっかり誤解のないように書くよう練習しましょう。


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【パイロット】課題研究:初心者昇級への道(2016年3月課題)

パイロット3月の課題研究楷書編です。

今月のお題は、「生垣の新芽が目立つので、 春は近いでしょう。」です。

わかくさ通信の「課題の注意点」
・「芽」は、8画で書きます!
・「目立」は、小さ目に書きましょう!
・ひらがながむやみに大きくならないように!
・「春」は、字形をよく調べること!
やはり、字形、字粒、布置が課題となりそうです。

誤字・脱字・規定外注意報!
・「新芽」と「目立つ」ですよ!×「新目」とか×「芽立つ」とかにならないように!
・「生垣」は、「いけがき」と読みます!×「なまがき」ではありません!(←読みはいいだろ!)
・「目立つので」を×「目立つから」とか×「目くじらを立てる」とかにならぬよう!(←ならねーよ!)

では、漢字単体を・・・

【生】
部首:うまれる
生

意外と認定課題では初お目見えです。まぁ、書き慣れた字なので、さほど悩むことはないでしょう。最初の払いとタテ画の起筆を押さえて、横画は真ん中が短く、下が長く軽く反らせます。横画は等間隔に。

【垣】
部首:つちへん
垣

楷書は、9画で書きますつちへんは、縦画を頭長く、3画目のヨコ画は、旁の始筆に向かって跳ね上げます。ただし、偏の右側は揃えましょう。旁の方は、横画が多いので、間隔を同じくらいにして、最後のヨコ画は少し長めに反らせましょう。

【新】(既出:2014年1月「新春演奏会・・・」)
部首:おのづくり
新
新
(2014年1月バージョン)

偏は、江守先生-田中先生のように、「木」のよこ画を長く書き左へ払わない形とB系統-狩田先生ように「立」のよこ画が長い形とがあります。江守先生の「改訂 常用漢字の階行書」では、許容の形でどちらかを長く書けばよいように書かれています。

「おのづくり」は、一画目を寝かせて二画目は縦に沿って払います。〇印のところの少し下げて、三画目のよこ画の後、最後の縦画は、中塚先生によるとよこ画のちょうど真ん中から下ろすのが良いと説明されてたように思いますし、B系統他でも真ん中から下ろしてますが、江守先生の「楷書の基本100パターンでは真ん中よりも少し左から下ろし、よこ画の右側が長くなるようにかくべしとされています。


【芽】
部首:くさかんむり
芽

楷書は、8画で書きます。筆順も調べて正確に書きましょう。横画が3本ありますが、2本目のヨコ画(4画目)よりも、くさかんむりのヨコ画を長く書きます。「牙」のタテ画は、中心よりも少し右側に書きハネます。最後の左払いは、他の字の払いと同じように上下の間隔が同じくらいになるように払います。あまり長く払い過ぎないように注意。B系統の字は、元々縦長スリムですが、「芽」はとくに細身に感じます。系統の書きぶりを踏襲するなら、同じように書くと良いのですが、バランス的には江守先生くらいが書きやすいかもしれません。

【目】
部首:め
目

囲いの接筆に注意します。左上は、他系統ではちゃんと付けてますし、日ペンなどでは離さないように指導してますが、左上に限り少し空けても間違いではありません。とくに変化に乏しかったり空間を意識したい時は意図的に離した方がいいと思います。右下の結びの方向に注意しましょう。タテ画が下へ出ます。個人的にも疎かにしがちなのは、左下の接筆・結びです。右下でタテ画を長く書くことに意識が行くと左下の接筆が疎かになってしまいがちです。中のヨコ画は、右は付けずに等間隔くらいに書きますが、「日」と同じように下の空間だけ心もち広くとると美しくなります。画数が少ないので、心持ち小さ目に書きましょう。

【立】
部首:たつ
立

これもよく書く単純な字なので、大丈夫かと思いますが、中の3画目、4画目は、丁寧に書きましょう。3画目は少し立て気味で上下とも付けません。4画目は、上を付けずに左払いの漢字で中心線より左、最後の5画目の始筆を目指すくらいに払います。5画目は4画目の払いを接するように少し反らせ気味に書きます。こちらも、5画しかないので「目」と釣り合うように小さめに書きます。「目」「立」と画数は少ないけれどヨコ画の多い字が続きますので、心持ち字間を取った方がいいかもしれません。

【春】(既出:2014年1月「新春演奏会・・・」)
部首:ひ(日)
春
春
(2014年1月バージョン)

字形としては、今回の注意ポイントです。「課題の注意点」にあるように、これを機に字形を研究した方がいいかもしれません。最初の3本のヨコ画は、少し詰め気味に等間隔に書きます。初心者では、「三」を意識して3本目を長く書いてしまいがちですが、左右に払いがある場合は、ヨコ画は邪魔しないように短めに書きます。4画目に左払いは、起筆を中心か中心より気持ち左側くらいからちゃんと押さえて払います。大きな払いとなりますので、最初は急角度で下ろし、2本目から3本目のヨコ画あたりから左へ広げるように。右払いは、2本目もしくは2本目と3本目の間あたりで左払いと接筆して、左払いよりも開いて右へ大きく払います。ただし、左払いよりも上の位置で止めて払います。日は、下がりすぎると間抜けた形になるので注意しましょう。

【近】
部首:しんにょう
近

「斤」の書き方は、「新」の時と同じ要領ですが、下にしんにょうがありますので、最後は払わずに止めます。しんにょうは、いつものとおり難しいですが、最初の点を高めに打ち、点とにょうの間を広く取ります。最後の画は、3つ折りにするように、しっかり反らせて最後止めて払います。B系統の払いではしっかり出てませんが、他系統のように最後の払いのところは少し上がり気味になります(上げ過ぎないように!)。

今回は、最後ひらがなも続くので、ひらがなの書き方、字粒にも注意しましょう。




プロフィール

@Sai

Author:@Sai
ようこそ@Saiのブログへ!
本ブログは、私の趣味の記録です。趣味の勉強ノートと割り切ってるので、お見苦しい個所も多々ありますが、よろしければご笑覧ください。
このブログは、2013年6月より開始しております。
2013年3月からパイロットペン習字通信講座を開始しました。
2013年7月から競書誌ペン時代を始めました。
2015年4月から競書誌ペンの光を始めました。
2015年12月からお遊び毛筆始めました。
パイロットペン習字通信講座(B系統)、ペン時代、ペン習字、その他・・・


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